強制力を利用する

夏休みがそろそろ終わりに近づいています。宿題や勉強は計画通りに進んだでしょうか。

■夏休みはたくさん勉強できる?

夏休みはまる一日自由になる日が多いので、その気になればたくさん勉強できます。夏休みにたくさん勉強して成績を上げるぞ、と意気込んでいた人もいると思います。一日に8時間勉強するとか、20ページ問題集をすすめるとか、先日の英語の模試の復習を終わらせるとか、そんな勉強が可能です。これだけ勉強すれば、成績アップも期待できますね。

しかしそんなことができる人はあまり多くありません。まずほとんどの人はできません。まる一日自由な時間があって、その時間をすべて勉強に費やすことができる人はごくわずかしかいないのです。

「明日は問題集を20ページすすめるぞ」と強く決意して寝たとします。次の朝起きたとき、そのとおりに行動することはまずできません。一日が自由だとまずほぼ、寝坊してしまいます。ダラダラとTwitterやLINEなどSNSをチェックしていたら、あっという間にお昼になってしまいます。お昼ごはんを食べてから勉強に取りかかろうと思っていたら、少し食べすぎてしまい、眠くなったので横になったらそのまま夕方まで寝てしまい・・・あっという間に一日が終わってしまった、みたいなことになるのです。これは私の例ですが。

■強制力のおかげで

実はほとんどの人は、他の人から強制されないとやるべきことをやることができません。勉強に限らず、スポーツ、ダイエット、仕事などは、強制力があって初めて大きな目標を達成できると言えます。

学校は強制力の一つです。毎日朝起きて、同じ時間に学校に行って、決められた時間割にそって、みんなで勉強する。この仕組みは、人を強制してくれます。この強制力のおかげで、毎日の生活がうまく進み、集中して勉強し、たくさんのことを学び成長していくことができるのです。

学校にいかなくなる、いわゆる不登校の経験を持つ人は分かると思いますが、朝起きることもできなくなり、いろんなことができなくて毎日あっという間に一日が終わっていきます。体力もどんどん落ちていきます。頭もずっとボーッとしたままです。ですから、学校を休まなければならないということは本人にとっても、かなり辛いことなのです。学校という強制力が自分を動かしていたのだと気付かされます。

■強制力を利用する

何らかの目標を達成するためには、強制力を利用するのがいいでしょう。

例えば、問題集を20ページ終わらせるならば、20ページ終わるまで、見張っててくれる人を頼みます。その場で見張っていて、怠けると起こってくれるような人を頼むのです。そうすると、確実に20ページ終わります。たとえば、見張っててくれる人がとても怖い人だったら、絶対に終わります。

しかし、強制力が強すぎるのはよくありません。心理的にプレッシャーが強すぎる状態は、快適とは言えません。逆にそこから逃げ出すことを考えるようになります。自律心も育ちません。

■ほどよい強制力

ほどほどの強制力が良いのです。ある程度は自由だけれど、全く自由なわけではない、そんな空間です。勉強するなら、図書館はちょうどよいと思います。自由だが、他の人の目もあって、しっかり勉強していないと恥ずかしいからちゃんとやろうと思えます。

実際、私も受験生のときはよく図書館を利用していました。延々とマンガを読み続けるという状況を避けることができるのです。そして、図書館では驚くほど勉強が進みました。家では1時間に2ページすすめるのがやっとの問題集が、図書館だと4ページ進んだりします。実感では効率が2倍になりました。

図書館に行くのは面倒です。しかもせっかくの休日なのに、着替えたり、お昼の準備を考えたり、交通手段を考えたりしなければなりません。しかしそういう準備も、休日にしゃきっとして頭を働かせるために有効なのだと気が付きました。

■自律心のある人

自律心のある人は、自分を律することができます。勉強すると決めたら、休日でもしっかり机に向かって、勉強できる人です。そんな人は、成績が良いものです。強制力は必要ありません。しかしそんな人でも「自分は誘惑に負けてしまう」と、強制力を上手に利用しているものです。

自律心が弱いことを自覚して、ほどよい強制力を上手に利用することが、目標達成を助けてくれるのです。

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