ハマることの効用

最近、塾生でどんどん成績を伸ばしている生徒がいます。聞いてみると「今は勉強にハマっているんです。」と言いました。どんなときに勉強にハマるのでしょうか。

■ハマるとは

「ハマる」を辞書で引いてみると、漢字では「嵌る」と書くようです。「夢中になって抜け出せなくなること、没頭する」とあります。もともとはあまりいい意味では使われていなかったようですが、今はいい意味で使われることが多いと感じます。

物事にハマると、上達していきます。上達するだけの時間とエネルギーが自然に注がれます。ハマることは上達したいものがあるときにうってつけの方法です。もし、勉強にハマることができれば、自然に成績が伸びていきます。

■勉強にハマる

私も勉強にハマった時期があります。勉強にハマったおかげでとても成績が伸びましたし、大学にも合格することができました。その時のことは一度このコラムにも書きました。

もし、勉強にハマることができれば、自然に成績が伸びていきます。どうしたら勉強にハマることができるのでしょうか。

私は実はハマり症で、今までいろんなことにハマってきました。ギター、渓流釣り、バイク、ビリヤード、紙飛行機、電子工作、プログラミング・・・。

■ハマる条件1 挑戦しがいがある

簡単にできることにはハマれません。試行錯誤できることがハマる条件だからです。うまく行かないのが前提です。何度も挑戦して、たまにうまくいくことがある。100回やって1回成功するくらい感じのときが丁度いい気がします。

ちょっとずつ条件を変えて試してみて、その結果を蓄積していきます。うまく行ったときの条件のうち、本当に成功に寄与している条件を絞り出す、みたいなことをコツコツやります。本当に地道にコツコツとやります。そうれができないとハマるという状態に陥りません。

渓流釣りの例で言えば、初めて1年ほどは1匹も釣れませんでした。30回釣行して0匹です。ちなみにルアー釣りです。

悔しくて、どうすればうまくいくのかを必死で考えます。投げ方やルアーの引っ張り方をいろいろと変えてみます。帰ってきてからはいろんな情報をあさります。本屋に行ってうろうろすると、「渓流釣り」のコーナーに自然と引き寄せられます。車を運転していると、川の様子が自然に目に入ってきます。そうなったとき、「ハマっている」と自覚します。

勉強も、学校の授業を集中して聞き、自宅学習は4~6時間はしていましたが、最初の3ヶ月はまったく成績が上がりませんでした。ここで頭にきたのも勉強にハマった理由かもしれません。これだけ本気でやってるのにだめなのか!ふざけるな!と。

成績を上げることは簡単ではないので、挑戦しがいのあるテーマでした。

■ハマる条件2 感動する

今までのことから考えると、感動することもハマる条件のような気がします。渓流釣りにハマったのは、たまたま訪れた渓流の、美しさ、気持ちよさに感動したからです。渓流の気持ちよさを知っていますか?きれいな水。川の上をすーっと通る冷たい風。日光をさえぎる葉の緑。ときどき川の中にゆらっと見えるイワナやヤマメ。ずっとここにいたいと思いました。今思えば、それがスタートでした。

勉強は、最初はいやいや始めています。まあ、受験勉強をやるだけやってみよう、という感じでした。そんな私が勉強に感動したのは、学習する内容が突き詰めればちゃんと理由や根拠があるというところです。誰かが勝手に決めたことではないというところに当時とても救われました。世の中には「なぜ」の答えがないことがあまりにも多いと感じ、怒っていたのですが、勉強の内容にはちゃんと理由がありました。勉強していて「あー、そういうことか。」と納得できることが何度もありました。「なぜ」の答えがあることに普遍的な美しさというか、真理というか、そういう気高さを何度も感じたのです。そのあたりから、ちゃんと知りたい、極めたい、という気持ちになりました。そこから勉強にハマっていったと思います。

何かにハマっているときは楽しいのです。生活が充実します。しかし、「ハマろう」と思ってもなかなかハマれません。自然にハマってしまうものなのです。もし、勉強にハマればとても幸運なことです。その可能性に心をひらいておいてください。

Copyright(c) 2022 悠学館 All Rights Reserved. Design by http://f-tpl.com