わたしの英語の勉強法

中学3年生のあるとき、突然ギターが欲しくなりました。

「ギターは俺の人生を変えるはずだ」と思いました。それは確信でした。なぜあんなに確信していたのか不思議です。しかし、ギターを買うお金がありません。親にお願いして「学年で10位以内に入ったら買ってやる」という約束を取り付けることに成功しました。そのときに、自分なりに勉強のやり方を試行錯誤しました。「そういうことだったのか!」と開眼した気持ちになったのが、英語でした。その時の勉強法を紹介します。

■その1 英文を正確に理解せよ

まず英文を正確に理解することが一番大事だと思いました。それまではいい加減に英文を理解していました。いわゆる、勘に頼った理解でした。

それでは点数が取れないと分かったのは、友達が正確に英語を理解できていると知ったからです。英語はほぼ100点のその友達は、「英語の単語で知らないものはほとんどないし、英文を正確に理解できていると思う」と言いました。わたしはとても感心して、「自分もその状態を目指すぞ」と思いました。

■英文を和訳する

英文を正確に理解するために、まずは単語の意味を調べ、一つ一つの英文を和訳していきました。友達や先生に手伝ってもらって、「すべての単語には意味があり、知らなくてよい単語はテストに出ない。」「英語は語順がとても大事。どれが主語でどれが動詞なのかを見抜ければ、和訳はだいたいうまくいく。」ということを学びました。

長文を和訳して、すべての意味が理解できたときは、とてもすっきりしました。自分勝手に意味を推測して、つじつまの合わなかったところが、和訳によってピタッとはまり、全体として意味が通る感覚は気持ちよかったです。その経験から「つじつまが合わない」という状態を、自分が誤訳しているシグナルとして利用するようになりました。

■その2 音読、音読、音読

勉強を始めてから2週間ほどで英語の単語がだいぶ分かるようになり、英語の正しい和訳のやりかたも分かってきていました。しかし、まだ問題がありました。英語を読むスピードが遅かったのです。このままではテストの時間内にすべての英語を読むことができない、ということが分かりました。

そのとき、先生にアドバイスされたのが「音読」でした。「スラスラ音読できると、テストでも英語を読むスピードが速くなるよ。」そこで、苦労して和訳した英文を音読することにしました。 ところが、当時は音読が本当に苦手で、スラスラ読むという状態になかなかなりませんでした。苦労してまた一語一語、単語の読み方を思い出しながら音読しました。

しかし、苦労して長文を音読するうちに、単語は「読めない」から「意味が思い出せない」んだな、ということに気が付きました。たとえば、traditionalという単語は、眺めているだけでは意味が分かりませんが、「トラディショナル」と声に出して読んでみると、意味を調べた時のことが思い出されます。それから「伝統的な」という意味であることが分かります。つまり、声に出すと勉強したときの記憶を呼び覚ますことにつながるのです。

そうして2回目、3回目と同じ長文を繰り返し音読しました。音読は本当に疲れます。しかし、読むスピードが確実に速くなっている実感もありました。初めて読む長文も速く読めるようになっているのです。これでうまくいく、という確信を持って、何とかこの勉強法を続けました。

この勉強のおかげで、学年で10位以内に入り、ついに念願のギターを手に入れることができました。

■なぜそうなるかを考える習慣を持つ

この経験は自分が生徒を指導する際に、とても役に立っています。現在、塾講師として生徒たちを指導していて思うのは、「正確さ」が置き去りになってしまうことが多いことです。英語の成績が伸びない生徒は、いい加減に、自分勝手に意味をとらえていることがとても多いです。

ある生徒に「先生、この英文ってどういう意味ですか。」と質問されました。「じゃあ、この文の動詞はどれだと思う?」と聞き返しました。生徒が自分で正しい意味を考えるやり方を教えたかったからです。すると「そういうのいいから、意味だけ教えてください。覚えるんで。」と言われて、がっかりしてしまいました。「なぜ、そういう意味になるのか」を考える習慣がないのです。考えるのは面倒くさいのです。勉強は「覚えること」だと思っているのです。「考えること」「仕組みを理解すること」も勉強の大事な側面です。こういう「考える」習慣作りは学年が小さいうちからやるべきだな、といつも思っています。

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