■将来の職業が決まっていない
四月は塾の保護者面談期間でした。子供が将来の進路をどのようにお考えなのかを尋ねると、「うちの子は将来何をやるのか決まってないんですよ。」と困ったようにこたえる方がいらっしゃいます。しかし、それは当然のことだと思います。多くの中学生、高校生は将来やることが明確に決まっていません。
■知らないから決められない
子どもたちは職業についてほとんど知りません。どんな職業があるのか、それがどんな仕事なのか、何が楽しいのか、何がつらいのか、そういった情報が不足してます。なぜなら生活のほとんどの時間を、学校という、社会から切り離された場所で過ごしているからです。子どもたちが関わる大人は、家族、親戚、先生くらいなものです。そんな状況で、自分が希望する職業を決めることはかなり大変なことです。
■社会に出てみないと分からない
職業の情報を得られるのは社会に出てからです。社会に出て初めて、大人がどんなふうに働いているのかが見えてきます。それなのに、子どもたちは社会に出る前に自分の職業を決めなければなりません。
アルバイトは大人の世界を垣間見る良い機会だと思います。友達とアルバイトの情報交換をする中で、お金をたくさんもらえるアルバイトは何なのかとか、どんなアルバイトが楽しいのか、などの情報を得ていきます。その中で自分がやるとしたら何がいいのか、いろいろ検討していきます。
■アルバイトから見える社会
私も大学生のときに実際にアルバイトをしてみて、自分に向いている職業と、向いていない職業がだんだん分かってきました。またそれぞれのアルバイト先で大人たちと仲良くなって、いろいろなことを教わりました。自分の中で「働く」ということがどんどん具体的になっていきました。
少し話がそれますが、なりたい職業があるときに、アルバイトをきっかけにして、その職業につくという方法も一般的です。塾生の中には音楽関係の仕事がしたいから、とスタジオのアルバイトに入って経験を積んでそのまま仕事にした生徒や、テレビ関係の仕事がしたいから、と言って制作会社のアルバイトを探してそこからテレビ局に就職した生徒もいます。今ならIT系でアルバイトしてそのまま就職というケースも多いようです。
■自分に向いていることは何か
自分には何が向いていて、何が向いていないのかはなかなか自分では分かりません。周りの友人との関わりの中で、また、社会との関わりの中で分かっていくことなのだと思います。ですから、中高生のうちにいろんなことにチャレンジして、そしてできるだけ学校以外の社会との関わりを持ってほしいと思います。
部活動や勉強に真剣に取り組むことはとても大事です。真剣に取り組むと必ず困難が立ちはだかります。それを解決していくときに、自分が何が得意で何が苦手なのかが自然と分かってくるものです。人と交渉するのが得意だとか、誰とでも友だちになれるとか、論理的に話ができるとか、一つのことに集中できるとかできないとか、いろいろなことが分かります。
残念ながら中高生は、アルバイトがほとんどできません。しかし、ボランティア活動や、家族の仕事の手伝い、親戚の仕事の手伝いなどをすることで、大人たちと関わることができます。そういうときに大人とたくさん雑談して欲しいです。大人たちから学べることはとても多いと思います。
■大学のススメ
自分に何が向いているのか、どうやって社会と関わるのが良いのかを知るために、大学は結構いい場所だと思います。勉強は大変ですが、一人暮らしやアルバイトで社会と少しずつ関わることで、たくさんの情報を得られます。自由になる時間もたくさんあります。自由になるお金も増えます。できることが増えます。
もちろん、勉強ができないと大学には入れませんし、学費や生活費もかなりかかります。また、大学に行ったからといって必ず就職できるとも限りません。
しかしもし、勉強するのが嫌でなかったら、大学に行くのはありだと思います。自分の好きな分野の専門知識を身につけて、しかも学歴を手に入れる事ができます。学歴は職業選択の幅を広げます。勉強が嫌いでないなら、ぜひ大学進学を検討してみて欲しいと思います。